里帰りしないでの出産
妊娠・出産中にたくさんの方から繰り返し驚かれたことがあります。
「え?実家で産まないの?」
はじめは誰もが産院がどこかを聞くのですが、自宅付近の病院で産む旨を伝えると、みんなこのように驚くのです。出産を経験した方、まだ出産されていない方、そして未婚の方…様々な方が、出産は実家に帰ってなすものだと考えていることに、かえって驚かされました。
きっと、産後まもない女性の体を気遣う風習が根付いているのでしょうか。家事はなるべくしなくて済むように、実家に戻ってしっかり休むという考えがあるようです。
里帰り出産にもたくさんのいい点があり、一つの選択として良いと思います。しかし、少なくない方が、特に深く考えることなく「里帰り」という選択をしているのではないかと感じました。出産にはいろいろな個別事情があり、「当然こうだ」というものはないと思います。もし、「里帰りをしようかな、どうしようかな」と考えている方がご覧になって、私の個別事情を参考資料としていただけたら、これ以上のことはありません。
まず、私の場合は父母ともに現職があり、日中は家におりません。
また、実家と自宅も遠く、どちらも田舎ゆえ交通の便が最悪です。一度実家に帰れば、赤ん坊を抱えて自宅に戻れるまでになるのはいつになるか、気が遠くなります。
さらに、父母は育児熱心であるので、父母なりの育児方針をしっかり持っています。なので、長らく実家に帰って育児をすると、夫と少しずつ話し合って決めていく過程をすっ飛ばして、先に私が父母の教育方針を鵜呑みにする危険がありました。父母の方針が正しいか間違っているかは問題ではありません。私は夫と一緒に二人三脚で、失敗もしながら少しずつ足並みをそろえて育児に臨みたかったので、出産後の貴重なスタートを夫と一緒に切ることができないということが大きなマイナスポイントでした。
このように、私にとっては、里帰り出産は念頭にもなかったことですが、考えてみても自分の場合は魅力的な選択ではありませんでした。
夫は、家事が得意というわけでは決してありません。なので、自宅で産後を過ごすことに不安がないわけではありませんでした。ただ、里帰りしたくないと伝えると、母と義母が「じゃあ手伝いに行くよ!」と声をかけてくれて、交代でうちに泊まって家事を手伝ってくれることになりました。また、夫も産まれたばかりの娘と毎日を共に過ごせることが嬉しいようでした。少しずつ、夫なりに育児について調べたり、考えたり、日を追うごとに真剣に取り組んでくれるようになっていました。
結局私の場合、どちらの実家にも甘えて大いにお世話になり、実家への負担としては里帰り以上になったかもしれません。
しかし、里帰りしない形で、このように実家に支援してもらうのも悪くない一例として、参考になれば嬉しいです。
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猫が二匹に増えました。