ぼんやりとした読書感想文ー『ラッシュライフ』
既読と未読の本棚を何となく分けているのですが、未読のコーナーに「あれ?読まなかったっけ」な一冊がありました。それが伊坂幸太郎さんの『ラッシュライフ』で、今回読んでみました。
最初は、登場人物の多さに、なかなか展開を追えませんでした。少しその人物の背景を把握しかけたところで、次の登場人物に場面転換してしまうのです。
「あっ、あともう少しでもうちょっと何か分かった気がするのに」という、うやむやな気持ちのまま、ストーリーは全然違うところに飛んでしまいます。少し走り出したところで、最加速度の少し手前でストップかけられる、そんな欲求不満が蓄積してどんどん読み進めてしまいました。すごく巧妙な罠です。
さらに読み進めると、それぞれの登場人物の描かれている時系列も、想定していたものと全然違うものであることに気づかされます。
「ちょっと待って待って待って、ここがここで…」と時系列整理に頭をフル回転させました。これは、最後の最後まで驚きが隠されていました。
読み終わった後、謎の爽快感があります。内容自体は殺人やらで物騒なのですが、上記のようなバラバラ要素を最後に一つに繋ぎ合わせることができ、パズルを完成させたような達成感が心に宿るのだと思います。
これで晴れて既読のコーナーにしまうことができます。