ゆりごりら

猫とわたしと大自然

ぼんやりとした読書感想文-『最悪』

『最悪』を読みました。

最悪 (講談社文庫)


何となしに読んだ伊良部シリーズがとても面白くて、以来奥田英朗さんの本をよく読むようになりました。

伊良部シリーズは頓知が効いていてテンポもよく、スイスイ楽しく読み終わってしまえるものでした。

そんなノリの良さを想定したまま『最悪』を読み始めたところ、最初っから暗い暗い暗い…
「雨の月曜の月末ってこんな感じだったよな」と会社勤めをしていた時の気持ちが沸き起こり、どんよりしてしまいました。

さらに読み進めると、物語の歯車が良くない方向に加速して回りはじめ、展開がどんどん「最悪」な方向に開けてしまいます。何度も目を本から放しては深呼吸して、自分の現実ではないことを確かめながら読みました。そうしないと、本から漂うどんよりした雰囲気が、自分の現実をも飲み込んでしまいそうでした。
それほど、感覚にも近い感情を呼び起こす描写なのです。

結局最後は、救いがあったのかなかったのか難しいところですが、登場人物にまとわりつく負のスパイラルは断ち切れたのではないかと思います。スカッとはしないけれど、少しだけホッとしました。

まさにタイトル通りの一冊でした。

どこで歯車の回転が狂ってしまったのだろうか、と考え込んでしまいました。


************


週末にはるばる遠路から、高校時代の友人が遊びに来てくれました。

高校時代には、友人は家族志向、私はキャリア志向でしたが、いつの間にか私が家族志向、友人がキャリア志向になっておりました。
相変わらず騒がしい私と相変わらずクールな友人で、関係は変わらないのですが、お互いの志向の変化に年月の経過を感じました。

懐かしさの中に大きな驚きが見え隠れして、何だか嬉しいような照れくさいような気持ちになりました。


f:id:donkeyuri:20160306114843j:plain

一口飲むと罪悪感に苛まれる、可愛すぎるラテ。